アメリカンクライムストーリー/ ヴェルサーチ暗殺 あらすじ・ネタバレ・感想
おすすめ度 ★★★★☆
物語はヴェルサーチを自宅前で射殺するシーンから始まります。実際に1997年に起きたジャンニ・ヴェルサーチを殺害したアンドリュー・クナナンに焦点を当てた実話に基づくドラマです。
・アンドリュークナナンという男
物語の中心となる男、ヴェルサーチを射殺した犯人。
彼もヴェルサーチもゲイでした。
あたかも偶然かのように忍び寄り、計画的に金持ちの年配男性を標的に出会うアンドリュークナナン。
口が達者で知識も豊富、一見賢い青年。
自分をよく見せたいがために、出会う人々にいつも嘘をつき、金持ちで余裕のある青年を演じている。親の仕事や育ち、自分の仕事などすべて偽っていて、出会う人それぞれに多種多様なストーリーを語る、虚言癖男。
ゲイだったのと生活のために、金持ちの男性と寝ては良い生活を何の努力もなしに送ろうとした。
物語が進むほどに、彼が今までに犯した罪や、どうして彼がそのようになってしまったか過去を遡り明らかになっていく。
クラブでヴェルサーチに自ら声をかけ、イタリア系アメリカ人の母の話をネタに、同じイタリア系アメリカ人のヴェルサーチの気を引こうとするアンドリュー。こんなよくいそうなファンを相手にするか?!と思いきやヴェルサーチはオペラにアンドリューを招待。
翌日そのことを友達に自慢気に話す彼は、彼(ヴェルサーチ)に興味なんてないし自ら彼に近寄るなんてダサいことしないけど、彼から声をかけてきてオペラに誘われたと豪語。
オペラ後、ヴェルサーチとの貴重な会話。
アンドリューはヴェルサーチにさえも、自分の生い立ちを偽っていたけど、そんな彼に恐らくヴェルサーチは気づいていたような様子
しかしこの後、特にアンドリューが望むような親しい関係はヴェルサーチとは築けなかった模様。その後もアンドリューはヴェルサーチに固執し続け、事あるごとに周りの人にヴェルサーチと親しいかのように話していた
➁ 彼の本質に気づいていた友人
うん、鋭い。というか、冷静に人を観察できる人、よく話を聞いてる人は見抜くだろうね。ある日アンドリューがヴェルサーチとの出会いを友人に話したときに、"君は自称ユダヤ系だろ?本当は君はカトリックなのに。ゲイにはゲイと言うし、ストレートの人にはストレートのフリをする" と、いつも話がコロコロ変わる彼に半信半疑そうな様子の友人。そのときにアンドリューは"人に合わせて話を変えてるんだ"と、自らの虚言癖も認めたと同じだよね。
③欲の為に失った玉の輿の年配彼
この人はアンドリュークナナンの本質、虚言癖で努力なしで贅沢な暮らしをしたいが為に一緒に暮らしているとわかっていながらも、彼のことを思うが為に嘘も知らないふりをしていたのですが、、なんて心の広い持ち主。
ある日アンドリューが彼に、自分とこのまま生活したいなら、遺産の相続人を自分に(アンドリュー)にしてほしいとせがみます。人の豪邸で優雅に暮らしておきながらよく言えるな本当。
アンドリューは、"一緒に住むことで1年以上も親の愛を犠牲にしてきた、年配ゲイ彼との同棲がバレてNY資産家の親からの送金が途絶えた" と。(そもそも資産家の親なんていません)
そこでノーマンは、努力なしでこの生活を送ってるわけではない、と。"君は元ドラッグストア店員で、母親と狭いアパートで二人暮らしだったよね?" と。ノーマンはアンドリューの身元調査も実はしていて、彼がどんな人か、NY資産家の親がいるという嘘も全部知った上で彼を受け入れて、一緒に暮らしていた。そうだとも知らずに金持ち息子を演じてきたアンドリュー本当惨め。
そこでノーマンは、"生活費をもっと増やしてあげるから、大学に復学して、ちゃんと勉強して立派になりなさい" と。え、すごい良い人だよね?ノーマン。こんなアンドリューに、救いの手を差し伸べてくれるなんて。。
が、アンドリューは、自分の要望(遺産相続)を飲まないなら出て行く、と。多分彼はそれでもノーマンは自分を必要としてくれると期待していたんだろうね。
まんまとその後音沙汰なし。
ここで黙って暮らしていれば彼の望む、楽に贅沢な暮らしが手に入ったのにね。ホームレスのような生活に逆戻り。
④ 不可解な殺人
アンドリュークナナンは、ヴェルサーチ殺害2ヶ月前にも不動産王リー・ミグリンも殺害しています。アンドリューと不動産王リーミグリンは以前から親交があった模様。ある日リーミグリンの妻が不在の日アンドリューとリーミグリンは約束を交わし、リーミグリンの自宅で会う。リーミグリンも、妻がいながら男性に興味があった隠れゲイ。
アンドリューはリーミグリンをその気にさせた後、なぜか顔にテープを巻きつけ、その後暴行殺害。その後彼の遺体の周りにゲイ雑誌を置いて、逃走。
うーん。。これは、何で殺したかったのかよくわからなかった。こういう金持ちで権力のある男性にも、知られたくない弱みがあるのだと世間に知らしめたかった?のかな。。
⑤ アンドリューの歪んだ愛
アンドリューにも、好きな人はいた。好きだったのか、支配したかったのか。。
相手はデヴィッドという若手建築家の将来有望な青年。
アンドリューとデヴィッドには共通の友人ジェフがいた。ジェフとデヴィッドは、アンドリューの虚言癖に気づいていて、いつのまにか、デヴィッドとジェフの方が親しくなっていた。ある日デヴィッドの家に訪れたアンドリューは、プロポーズをするが断られる。そしてジェフとの親しい仲に勘づき、デヴィッド宅に訪れたジェフをデヴィッドの前で殺害する。デヴィッドは通報を勧めたが、アンドリューはもちろん許さない。デヴィッドを連れて、逃避行。アンドリューはノリノリ。これでデヴィッドと駆け落ちできる。
しかし恐怖心を抱きながらアンドリューから逃げられないデヴィッド。警察に自首しようと諦めないデヴィッドに、アンドリューは混乱し始め、ついにデヴィッドも殺してしまう。
これは、不動産王リーミグリンを殺害する1週間前の出来事。
・アンドリュークナナンという男再まとめ
口を開けば、映画を作っている、資金調達をしている、父親がパイナップル農園をやっている、NYの資産家だ、と色んなことを言って、嘘で塗り固められた話ばかり。
よくもこんなに色んな嘘が出てくるなぁと。
騙されていた人もいれば、見抜いていた人もいる。彼の話は胡散臭すぎると。
彼がこうなってしまったのには言い訳にはできない腑に落ちる生い立ちもあるのでは。。
根本的に自分自身に自信がなかったのか、度がすぎる見栄っ張りだったのか。。
努力をせずに贅沢な暮らしと名誉を望んでいたのは確かでしょうね。中身は空っぽのまま。
後半は彼の生い立ち家族について→
⑤ アンドリューの父モルデドクナナン
アンドリューは2人の兄姉と父、母と狭い家で暮らしていたがある日大きな家へと引っ越す。
そこで不思議に思ったのが、家族で引っ越した新しい家。アンドリューは末っ子だったが、父はその家で一番広い主寝室を与えた。
可愛がっていたのか、思い入れが強かったのかいつも特別扱い。中学に入ったばかりの彼に車を買い与えたり。彼の口達者ぶりは、おそらく父親の影響そう。父親は毎晩彼に哲学本のようなものを読み聞かせた。
ある日父親の働く会社にFBI。架空の株を高齢を中心に売りつけてる疑惑。しかもメリルリンチに就職後数々の会社を転々としていた模様。自宅も勝手に売りに出し、お金も全部持って故郷フィリピンへ逃亡。
アンドリューは家と父、今まであった生活を失った。
それでもアンドリューは父を信じていて、お金をどこに隠してくれていると思ったんだけど、自分のことしか考えてない父親はそんなもの持ってないし、明らかに詐欺罪なのに、無実だと言い張っていた。
これがアンドリューにとって大きな出来事だったように感じる。尊敬していたお父さんに裏切られて、家を失って生活が苦しくなって、それを人に見せたくなくて見栄を始めて、虚言癖が身についたのかなぁ、と。
努力して勝ち取ろうとしないで、人を騙してお金を得てインチキしていたアンドリューのお父さん。アンドリューと人間性が少し被るよね。
⑥ アンドリュークナナン指名手配
ヴェルサーチを殺害後、指名手配になり水上コテージに身を潜める。TVのニュースで指名手配犯だと流れるのをみて満足げ。本当に歪んだ人格だったことがわかる。
その後彼が捕まるのか逃げ切るのか、、
それは伏せておこうと思う。
だんだん苦しくなっていく潜伏生活。
・感想
虚言癖がすごくて、誰かこれを見抜かないの?!と思って観てるうちにあっという間にシーズン1全部観終わってた。しかしあれが実話だと思うと鳥肌だな。。自分の支配欲のために5人も殺害したアンドリュークナナンは、考え方や感じ方がもう少しでも違っていたら、もっと違う人生を送ることができたのではないか?とも感じた。
頭のおかしい虚言癖男が次は何をしでかすのかと目が離せないことは確かなのでおススメです。